派遣というシステムを目の敵にするのはいかがなものか?

不況色が強くなってきたためか、メーカーの「派遣切り」に対し、批判的な報道や政治家の言動が目立ちますね。

まあ、メーカーの経営陣の本音は、「昨今のような急激な生産調整の局面に備えて、派遣や期間工を工場のラインに入れていたんだよ。それが経営判断。何か文句あるのか!?」ってことでしょうけど、反発を買わないように静かにしていると推察します。

実際、メーカーの言い分はそのとおりだと思います。もしも、国内工場では正規雇用以外は認められない、なんてことになれば、工場そのものが海外に出ていくだけですよ。

1990年代にワークシェアリングという言葉をよく聞きました。1人当たりの賃金は減らしても、限られた仕事を分けて雇用を維持しましょう、という仕組みです。昨今の製造現場は、それが実現していたんでしょう。ただ、仕事の量が急激に減っているため、分け前に預かれる人の数が減ってしまったのです。

仮に、人数を減らさなければ、仕事そのものがなくなってしまう。大企業の破綻(山一證券の自主廃業)を身をもって経験した私からすれば、「仕事(会社)をゼロにするわけにはいかんでしょ?」と思うわけです。

ところで、派遣切りに批判的な報道をするマスコミの皆様。そちら様では、職場における派遣切りや、下請けの制作会社切り、なんてことは、なさっていませんよね?

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コーポレートガバナンス

現在の仕事に関連するお話をひとつear

Asian Corporate Governance Associationなる組織があります。コーポレートガバナンス(企業統治)のあり方については、立場によってさまざまな考え方があるものですが、この組織は思いっきり株主の立場に寄ったコーポレートガバナンスを提唱しています。

この組織が、最近、"White Paper on Corporate Governance in Japan"なる白書を出しました。もともと英文で書かれた白書ですが、日本の企業に読ませる目的で作成された白書だけに、ちゃんと日本語訳がありますcoldsweats01

さらに、ある機関投資家は、「この白書を参考に、おたくのコーポレートガバナンスを見直してね」というお手紙loveletterを、複数の日本企業に送っているそうです。

はっきり言って、この白書に書いていることを、そのまま実行できる会社なんて、ほとんどありません。また、そのまま実行する必要もないでしょう。ただ、株主の権利・利益を最大限に拡大解釈した考え方が、こういうものだということはわかります。

企業と投資家の関係に関心のある方は、ご一読bookしてはいかがでしょうか?

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日銀総裁の空席

日銀総裁が空席になるのかどうか? まあ、しばらく空席でも、あんまり影響はないでしょう。どうせ、「内外の経済情勢、市場の動きを注視する」的なコメントを発表するだけで、具体的な政策を打ち出せるわけじゃないんだから。

ばぶるばすたーさんも、力説しておられます

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なぜ、だまされるのか?

新聞・テレビ等の報道によると、「円天」なる仮想通貨を利用した詐欺集団が、警察の捜査を受けています。その仕組みは、この仮想通貨を発行する会社に現金を預ければ、毎年同額の「円天」を受け取り、独自の市場で「円天」による買い物ができる、というものです。

その詳しい内容は、Googleですぐに検索できる、下記リンク(YouTube画像)が詳しいです。

※YouTubeへのリンク
http://www.youtube.com/watch?v=848BZ1DvSdk

架空の投資話にお金をだまし取られる事件があとをたちません。この「円天」のやり方は、直接的な投資話を持ちかけていない点が、他の詐欺事件とは趣を異にしていますが、「他人より得をしたい」という人間の心理につけ込んでいることに、変わりはありません。

「他人より得をしたい」というのは、人間が多かれ少なかれ持つ欲であり、この欲が自由主義経済のエネルギーでもあります。そう、だから、だまされる人に言いたくなります。「なぜ、だまされるのか?」と。

「他人より得をしたい」と思う人間が、本当に得する話を、他人に教えることなどありません。本当に得する話を知る人間は、それを独占しようとするものです。それは、言葉にするのもアホらしいぐらい、当たり前のことではありませんか。

上記リンクの映像では、いい歳をした大人が、嬉々として「円天」をほめそやしています。減らない通貨など、経済原理上、存在するはずがないのに……。

なぜ、だまされるのか? 本当においしい話など、誰も、絶対、他人には教えません。

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お考え直しを――財務省様

証券税制の軽減税率がピンチです。株式の譲渡益と配当にかかる税金が、本則は20%となっているところ、現在は時限措置として10%になっています。政府税調は予定どおり時限措置を撤廃しろと言い、金融庁はそれに反発、今は自民党税調で議論されている状況です。詳しくは、こちらの日経新聞の記事で。

多少なりとも株式を保有しているから言うわけではありませんが、頼むから10%を維持して欲しいものです。そもそも20%が合理的ではないのです。リスクのない利子所得の税率が20%なのに、リスクのある株式投資の所得が同じ20%というのは、どう理屈をこねても変です。

財務省は伝統的に、「株はお金持ちの遊び」みたいに思っているようですが、一方で政府はペイオフを解禁し、庶民の金融資産を貯蓄から投資に誘導しようとしています。財務省が個人向け国債を発行すると瞬間蒸発のように売れるのも、その流れがあるからです。

現在の軽減税率は、株式投資信託にも適用されています。まさか財務省は、郵便局の窓口で売っている投資信託まで、お金持ちしか買わないものと思っているのでしょうか? 政府税調や役人の一部の方が、「貯蓄から投資の流れは税制以外で促すべきだ」と言ったそうですが、じゃあ税制以外にどんな方法があるのですか。お金の流れを変えるのに、政府がとりうる施策は税制しかないでしょう。

実際、政府税調は企業の減価償却費の計上方法を見直し、設備投資を促す方針を示しています。企業の投資を持続させ、景気拡大を長続きさせるためです。先の発言は、それとまったく逆のことを言っているわけです。この矛盾をどう説明してくれるのですか?

とにかく、軽減税率の撤廃には反対です!

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ミクシィ上場

今日はSNS最大手ミクシィのマザーズ上場日だったんですね。1企業の上場が一般のニュースでも取り上げられるのは、久しぶりのような気がします。特に、新興企業の上場がこれほど話題になるのは、ちょっと記憶にないですね。

初日は315万円の買い気配で値つかず。株価315万円で計算される時価総額(会社の値段)は2220億円ですか。人気のある新規公開株が、初日に値がつかないことは決して珍しいことではありませんが、この時価総額は凄いですね。

友人からミクシィに招待を受けたのは、ちょうど2年前の2004年8月。当時はGREEの会員数の方が多かったと思うのですが、あっという間にミクシィが最大勢力になりましたね。当時は、上場企業になるなんて夢にも思ってなかったんですけど、はい。

さて、ファンドマネージャーの目になって株価を見てみましょう。2007年3月期の決算予想はミクシィから公表されています。それによると今期の予想PERは225倍。来期に利益が倍になったとしてもPER100倍台のまま。常識的には過熱気味という結論になるのですが、そんな見方を打ち破ることができるかどうか? しばらく、注目が集まることでしょう。

ところで、こういう大型新規上場があるときは、資金がそちらに集中し、新興市場全体が下がる傾向があります。今日はジャスダック指数が▼1.12%、マザーズ指数▼3.09%、ヘラクレス指数▼1.77%と軒並み下落。特に、ミクシィが上場したマザーズの下げ幅が、一番大きいのが印象的です。ミクシィ株を買えなかった投資家は、こんなところにも注目してはいかがでしょうか。

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ライブドアの上場廃止について

相変わらず揺れているライブドアですが、ライブドア株の上場廃止が事実上決まったかのような報道については、やはり注意を促したくなります。結論から言えば、上場廃止とはそんなに簡単に決まるものではありませんし、簡単に決めてもいけません。

粉飾決算が上場廃止の理由になることは間違いありません。最近の例で引くと、カネボウの上場廃止がそれに相当します。ただし、現時点のライブドアとカネボウの決定的な違いは、粉飾決算があったことが、いまだ証明されていないことです。

カネボウの場合は、前の経営陣の不正を内部で調査し、粉飾決算があったことを会社として認めたから、上場廃止になりました。ライブドアは法人として粉飾決算があったことは認めていませんし、粉飾決算をしたといわれる堀江前社長らの裁判も始まってはいません。

今は粉飾決算の疑いがあるだけです。それだけで上場が廃止されたら、日本は法治国家でなくなってしまいます。とはいえ、堀江前社長らの裁判が終わるのを待ってるわけにもいかないので、ライブドアは早急に会計監査人と内部調査委員会を立ち上げて、決算書を洗い直してください。それが、「上場」という社会的責任を負った企業の義務です。

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ライブドア騒動

法律の抜け穴をすり抜けて、敵対的買収を仕掛けたり、株価の引き上げを狙ったりするのは構いません。日本は法治国家であり、資本主義経済の国なんですから。

でも、でも、粉飾決算だけはダメです。法律に違反することはもちろん、資本市場を利用するために、絶対守らなければならないルールなんですから。報道されているとおり、ライブドアの粉飾決算が事実なら、堀江社長の発言のすべてが空虚に響きます。

ついでに言うと、精算処理ができないからといって、東証が取り引きを止めたらいけません。ジェイコム株誤発注に匹敵する醜態です。反省して欲しいと思います。

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誤発注についての雑感

ジェイコム株の誤発注について、いろいろと新事実がわかってきましたね。当日に書いた記事では、みずほ証券のお粗末さを批判しましたが、のちに東証のシステムにも問題があることが判明しました。なお、現金決済で丸く収めるのは適切な判断であり、決済価格が8日の終値77.2万円に14万円(約18%)上乗せした91.2万円というのも、妥当な水準だと思います。

「そもそも発行済株数を超えるような注文を受けつける東証のシステムに問題があるんだ」という意見もあるようですが、ちょっと一面的な考え方だと思います。いろいろな例外ケースを想定して、システムをあまり重くすると、取り引きのリアルタイム性が失われる危険があるからです。

システムには素人の僕ですが、あらゆる証券会社から入ってくる注文ごとに、東証のシステムで発行済株数を照合させるとなれば、確実に動作は遅くなると思います。そういうことが積もり積もって、システムのトラブルって起こるんじゃないでしょうか。

まずは、証券会社が適切な注文を出すことが大切なのだと思います。東証の会員権を持つということは、そういう義務を負っているということなんだと思います。

といって、最近の東証のシステムトラブル頻発を、弁護しようなんて気はありません。コンピュータ会社にべったり頼り切るんではなく、自らもプロ意識を持って、システム構築にあたって欲しいものです。市場は、社会の大切なインフラなんですから。

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驚愕の誤発注

いや、これは、ビックリしました。はっきり言って、失笑ものです。今日、東証マザーズに上場したジェイコム株の取り引きにおける誤発注です。みずほ証券が、「1円で61万株を売却」という注文を出し、これが成立してしまったのです。

ジェイコムの初値が61万円、発行済株式数が1万4500株ですから、「61万円で1株売却」を「1円で61万株売却」と、端末に間違って入力したことは、想像に難くありません。入力する数字は「61」と「1」ですから、これを入れ違えてしまったわけですね。

上場初日というのは、こうした誤発注が起こりやすい面はあります。2日目以降なら、異常値が入力されれば、前日の株価や出来高との比較によって、注意を促すメッセージが出ます。ところが初日は、まっさらの状態での入力ですから、こうした牽制が働きにくいのです。

でも、株価と株数を間違う誤発注を目の当たりにしたのは初めてです。かつて、ゼロが足りなかったというのは見たことがあります。つまり、50万円と入力するところを、5万円としたようなケースです。そのときでも、かなり大きな問題になりました。

今度はその事例をはるかに凌駕するスケールです。不幸にも、「1円で61万株の売却」は、ほとんど約定が成立しているようなのです。発行済株数が1万4500株しかありませんから、当然買い手に対して株券を提供することはできません。一方で東証は、「注文は取り消さない」と言っています。そりゃそうです。

仮にみずほ証券が投資家に、現金を払ってごめんなさいをする場合、今日の終値77万2000円×61万株=約4700億円!が必要になります。もっとも、評価額を今日の終値にするのか、初値の61万円にするのかは、議論の余地があるでしょう。それでも、途方もないお金が必要になることは間違いありません。

みずほ証券の今年9月末における純資産は3918億円(連結)です。上記の金額を損失計上すれば、純資産があらかた吹き飛びます。自主廃業をした山一証券も真っ青の倒産劇となってしまいます。そんなことにならないように、これから対策をするんでしょうけど、一筋縄ですむ話ではありません。

それにしても、入力しそこなったオペレーターは罪作りですね。たぶん、派遣社員を使っていたんじゃないかと思います。でも、こういうケースは入力をミスした個人を責めるのではなく、ミスを未然に防ぐチェック体制ができていないことを、責めるべきなんですよね。

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責任能力――瑕疵担保責任10年

2週間ぶりの更新です。この間、別に遠出をしていたわけでも、体調を崩していたわけでもありません。はっきり言って、気分の問題です(開き直り)。

ブログの更新が滞っている間に起こった事件としては、構造計算書の偽造により、耐震性能が基準以下のマンション、ホテルが発覚したことが、一番目立ちます。そこでポイントととなるのが、建築主が販売後も10年間、瑕疵担保責任を負うという法律ですね。こちらのサイトに詳しく書かれていました。

瑕疵担保責任は、購入者が安心して購入するために必要な考え方だと思います。しかし、さすがに建築基準法違反のマンションが販売され、それを建築主が全棟買い戻す事態は想定していないようです。そもそも、大抵のマンション・デベロッパー(建築主)は、一度売った商品(マンション)を、全棟買い戻せるような財務体質ではないのです。そんなことをすれば、大抵は破産します。少なくとも、事件の当事者であるヒューザーが、売り値の106%で買い戻すと提案しているのは、破産を覚悟した提案だといえるでしょう。

今回の一連の報道でお気づきの方も多いと思いますが、デベロッパーが実際に手掛ける業務は、非常に限られています。設計は設計事務所に外注、建築は建設会社に外注、販売も販売会社に外注することができます。そうするとデベロッパーの仕事は、土地の仕入れと、どんなマンションを建設・販売するかの企画になります(土地の仕入れを外注というケースもあります)。とすると、経験と人脈があれば、数人でもできる仕事だということが、おわかりいただけると思います。

「土地を持っているから、買い戻す資金ぐらいあるんじゃないの?」と思う方もいるでしょう。でも、デベロッパーにとっての土地は、服屋さんにとっての生地と一緒で、あくまでも商品の材料なのです。購入資金のほとんどは借入金で調達していますから、手持ちの土地をすべて売却すれば、社員と事務所しか残らないのがデベロッパーなのです。

ちょっと長くなりましたが、以上のことから、10年の瑕疵担保責任が非常に重く、場合によってはデベロッパーの責任能力を超えるものだと、おわかりいただけたと思います。マンションを購入するときは、デベロッパーの責任能力にも、気を配る必要があるのかもしれませんね。一連の騒ぎが収束した後、マンションを販売するときは、デベロッパーの財務諸表を顧客に開示せよ、なんて法律が定められるのかな?

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村上ファンドの狙いは?――阪神電鉄株大量取得

いやいや、阪神タイガースが優勝したと思ったら、村上ファンドによる親会社・阪神電鉄の株式大量取得ですよ。マンガのような展開には、思わず笑ってしまいます。

さて、村上ファンドの動きに対して、案の定、野球界からは好意的な声は聞こえてきませんね。代表的なのは星野前監督の「タイガースは公共のもの」という批判でしょうか。でも、それは違います。阪神球団は私企業であり、決して公共の財産ではありません。また、阪神電鉄も私企業であり、株式を上場している以上、このような株式の買い占めにあうリスクは、常にはらんでいたのです。

はっきり言って、阪神電鉄経営陣のボーンヘッドですよ。株価が上昇しているのを「優勝のご祝儀相場」と喜び、9月末償還の転換社債を買い占められていることにも気がつかなかった。そもそも、株式への転換が進まない状態で(株価が転換価格を超えなかった)、転換社債の償還期日を迎えることが、企業価値の向上を怠っていた証拠です。村上ファンドを批判するのは筋違い。批判されるべきは、阪神電鉄の経営陣です。

村上ファンドはこの後どうするのか? 報道によると、阪神タイガースの上場を要請しているようですが、これは単なる牽制球か隠れ蓑と、僕は考えています。村上ファンドは、最終的には全株売却したいはずです。もちろん、利益を上乗せして。

ここでふたつの事実を思い出してください。ひとつは、ライブドアの堀江社長が、プロ野球への新規参入を果たせなかったときに、「プロ野球球団の親会社を買収すれば、審査なんか受けなくていいんでしょ」と言ったこと。もうひとつは、ライブドアによるニッポン放送株買い占めのきっかけが、村上ファンドから「あんたとこで、うちが買ったニッポン放送株を買わへんか」と持ちかけられたこと。

ライブドアによる阪神電鉄買収――ありえないシナリオではありませんよ。

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劇場型経営のツケ

日経新聞の1面に、「ソニー、金融事業売却へ」の見出しで、ソニーが金融事業、ソネット、スカパー!などを売却し、エレクトロニクス、エンターテインメントに経営資源を集中するとの記事が出ていました。ソニーの利益の基礎部分を稼いでいたブラウン管テレビが、急速に薄型テレビに置き換わり、もはや待ったなしの状態になったのでしょう。

劇場型経営という言葉は、往々にしてソフトバンクの孫社長の経営手法を指しますが、僕はソニーの出井前CEOも劇場型経営を好んだ人だと思います。1995年の就任以来、疑似ストックオプション、株式交換による上場子会社買収、カンパニー制導入、銀行業への参入、トラッキングストック(子会社連動株式)の発行など、日本企業初・業界初の取り組みを行い、そのたびに日経新聞の1面を飾っていました。劇場型経営の有終の美は、日本語を話さない・日本に常駐しないストリンガーCEOの抜擢でしょう。

その間、ソニーは本業の投資を怠り、特に薄型テレビの開発に遅れ、現在の苦境を招いている。やや乱暴ですが、これが僕の分析です。しかし、今回の事業売却は疑問が残ります。もったいない、というのが僕の正直な感想です。ばぶるばすたーさんが指摘するように、売却を決めた事業を、もっと活用する余地はなかったのか? 例えば、スカパー!のチューナーを内蔵したテレビはなぜ作られなかったのか?、地上波デジタルテレビ時代こそ、ソネットやソニー銀行(オンラインバンク)を持つ意味があるのではないか?、などです。

もしも、「いろいろとしがらみがあって、うまくできなかった」などという言い訳が、ソニーから出てくるようであれば寂しい話です。既成概念やしがらみを乗り越えてきたのが、ソニーの歴史であるはずです。

ソニーらしくない決断――今日の新聞記事に対する、僕の率直な印象です。

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会計士の逮捕

カネボウの粉飾決算事件に絡み、4月に書いた記事で、「経営陣がグルになって粉飾をすると、監査法人はお手上げ」と監査法人をかばったのですが、何と会計士が逮捕されてしまいました。

報道によると、中央青山監査法人の公認会計士4人が、証券取引法違反の疑いで逮捕されたとのことです。逮捕された4人の公認会計士が、本当に粉飾決算に関与していたかどうかは、今後の捜査を待つべきで軽々に断ずることはできません。ただ、もしも監査法人までグルになっていたのであれば、どんな粉飾決算でも可能になってしまいます。事実であれば、開いた口がふさがりません。

今後注目されるのは、中央青山監査法人が法人として訴追されるのか否かです。2002年、アメリカの5大監査法人のひとつであったアーサーアンダーセンが、エンロンの粉飾決算に関与したかどで有罪判決を受け、その後崩壊した事件を覚えている方も多いでしょう。僕は強い緊張感を覚えます。

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ホントに出馬ですか?

ライブドアの堀江社長が、自民党から衆議院議員選挙に出馬すると、ほぼ決まったかのように報道されています。はっきり言って、「本気ですか?」という気持ちです。別に、上場会社の社長が議員になっちゃいけないと、法律等が禁じているわけではありません。でも、ライブドアのようなワンマン体制の会社の社長が、衆議院議員になるのはどうかと思います。彼が常々口にする、企業価値の向上に反しないのでしょうか? 議員という仕事は、それほど簡単にできる仕事なのでしょうか?

何より、ワンマンで会社を引っ張っていた彼が、今さら480分の1(480は衆議院の定数)になることに、満足するのかどうか。きっと満足しないでしょう。自分の思い通りに進まないことにいらだち、投げ出す可能性のほうが高いんじゃないかと思います。

ひょっとして、「衆議院議員になったら、携帯電話事業への参入で、総務省に便宜を図ってもらえるため、企業価値の増大に結びつく」なんてロジックを、言うつもりじゃないでしょうね? それって「あっせん利得罪」に問われますからね。くれぐれもご用心。

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株式上場をやめるという選択

今日の日経新聞の夕刊によると、アパレル大手のワールドが、MBO(経営陣による企業買収)を実施して上場を廃止し、非公開企業になる方針を固めたそうです。その理由として、「自社ブランドや会社の知名度が高く、大きな資金調達の計画もないため、株式上場する意味がない」としています。もちろん、上場することによって潜在的にはらむリスク、すなわち買収リスクを、未然に排除することも目論んでいるのでしょう。

ライブドアがニッポン放送株を買い占め、過半数を握ったことを契機に、多くの企業が買収防衛策を打ち出しています。なかには、経営陣の保身を意図したとしか思えない、姑息な防衛策もなきにしもあらず。それに比べて、このワールドの潔さ。そうです。買収されるのが怖ければ、上場をやめればいいのです。買収のリスクにさらされても、株式上場による知名度が欲しいとか、資金調達を行いたいという会社のみが、上場をすればいいのです。

さて、ここで一考。手元資金豊富な会社が、消却を目的とした自社株買いを、TOBによって実施をする。順調に株式購入が進み、予定通り株式の消却を行えば、株主数や特定株主の持株比率において、上場基準を満たさなくなる。この方法であれば、企業自らの意思による上場廃止が、比較的簡単にできるはずです。ワールドがやろうとしているMBOのように、経営陣が株式購入資金の調達に、頭を痛めることもありません。村上ファンドから狙われそうな会社だったら、やってみる値打ちはあると思うんですけどね。

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11年ぶりの高値――ガソリン価格

ガソリン価格の推移を調べる用事があったため、ネットを検索してみると、石油情報センターのサイトに、全国のガソリン価格の時系列データがありました。都道府県別および全国平均の価格が、油種別(レギュラー、ハイオク、軽油)に1987年まで遡って調べることができます。これは貴重なデータです。

先日ガソリンを入れたときに、「げっ、125円/リットル!」と天を仰いだのですが、上記のデータによると、レギュラーガソリンの全国平均価格が、120円を超えたのは今年4月です。ちなみに、その前に120円を超えていたのは、何と1994年。実に11年ぶりの水準なのです。

長らくガソリンの価格が120円を割っていた理由は、1996年4月に特定石油製品輸入暫定措置法(な、長い……)が廃止され、石油業界に対する保護行政が終わりを告げたことです。規制緩和(撤廃)がガソリン価格を下げたわけですが、これを吹き飛ばしたのが昨今の原油価格高騰。その背景として、原油先物取引市場に高い利回りを求める資金が、大量に流入したことは無視できません。

規制緩和により、ガソリン価格が下がるのは市場原理。投機マネーによる原油価格高騰で、ガソリン価格が上がるのも、これまた市場原理。だから文句を言うつもりはありませんが、高いガソリンとしばらく付き合わなければならないのかなと思うと、少し悲しくなります。はい。

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脱・柳井商店はいつ?――ユニクロ

ユニクロを展開するファーストリテイリングが、玉塚社長の退任と、柳井会長の社長復帰を発表しました。創業者である柳井氏の復帰は、さまざまな論評とともに、新聞各紙で報道されています。

オーナー会社を皮肉っぽく表現するとき、「○○商店」という言葉が使われます。今回の場合は、ファーストリテイリング=柳井商店。企業がある一定の規模まで成長するときは、個人商店的な経営体制、組織運営で問題ありません。それが、もっとも効率的だからです。しかし、個人商店としての効率性が通用しなくなった段階で、脱・個人商店が果たされなければ、企業の持続的な成長は望めません。

ファーストリテイリングは、未だ個人商店的な効率性を必要とする規模なのか、そろそろ脱・個人商店をすべき規模なのか? その答えは誰にもわかりません。少なくとも、今は――。

それでも、人間には寿命があります。ファーストリテイリングが、脱・柳井商店を実現するのはいつか? 興味は尽きません。

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不正発見型監査

日経新聞夕刊の1面に、「日本公認会計士協会は2006年度から、企業経営者による不正を見抜くことに重点を置いた会計監査の手法を導入する」との記事がありました。以前、粉飾決算などの不正行為に対する、監査法人の限界について記事を書きましたが、これに関連する話ですね。

記事によると、「不正が疑われる場合は、抜き打ち検査も行う」などと書かれています。確かに、そのような手法をとれば、実際の効果はともかくとしても、抑止効果は働くでしょう。ただ問題は、そのコストを誰が負担するのかです。監査報酬は、企業から監査法人に支払われます。監査法人も商売ですから、抜き打ち検査のようにコストがかかることを、自分たちの持ち出しでやることはできないでしょう。コストを負担するのは企業であり、企業は”自社にあるかもしれない不正を発見するためのコスト”として、監査報酬を上乗せすることになります。

エンロンの不正会計・粉飾決算が明らかになったとき、アメリカの株式市場は企業の決算書に対する不信感をあらわにしました。その際、IBMなどの企業は、監査報酬の増額を決めたそうです(きちんと書類を調べていないので、あくまでも当時の新聞記事等からの伝聞です)。監査報酬を増額することで、不正を見つけるタイプの監査手法を採用し、再度チェックをかけるという建て前だったのでしょう。

さて、最近の日本企業ですが、監査報酬は抑制気味です。いえ、監査報酬に限らず、あらゆる面で費用を抑制気味です。そんな環境のなか、監査報酬の増額を伴うような、不正発見型監査をお願いするでしょうか。微妙なところです。恐らく、これから議論されていくことでしょう。あるいはこの記事によって、議論できる素地をつくろうとする、公認会計士協会の意図があるのかもしれません。

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鋼鉄製橋梁工事の入札談合事件について

国が発注する鋼鉄製橋梁工事を巡る入札談合事件で、11社14人の部長クラスが逮捕されました。過去にも談合に絡む事件はありましたが、これだけの数の会社から逮捕者を出した事例は、ちょっと記憶にありません。

この事件を企業経営の視点から考えてみました。11社は横河ブリッジのような専業メーカーもあれば、三菱重工や石川島播磨のような総合メーカーも含まれていす。それほど大きな市場ではなさそうなので、11社が自由競争をすれば確実に過当競争となり、倒産する会社や、事業撤退をする会社が出たでしょう。談合は、それを未然に防いでいたわけです。

多くの業界で、最近はM&Aが当たり前のように行われ、昨日までのライバル会社同士が、今日には手を結ぶケースも少なくありません。橋梁工事の業界では、そのようなことは望むべくもなかったわけですね。しかし、業界の腐った体質が白日の下にさらされた今、各社は真剣に業界再編を考えるべきでしょう。

11社は多すぎるかもしれない。適正利潤を得るには、規模のメリットを追求するM&Aが必要。総合メーカーは果たして橋梁工事を続けるべきか。専業メーカーこそ業界の浄化と会社存続を真剣に考えるべきではないか。各企業の経営トップが考えるべきことは、少なくなさそうです。

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姉? それとも、妻?

今日の日経新聞の夕刊に、コーエーの襟川恵子会長のインタビューが掲載されていました。コーエーはお馴染みのゲームソフト、「信長の野望」の開発元です。大学生の頃、NECのPC8801(8ビットのCPUですよ!)を使い、徹夜で「信長の野望」に取り組んでいたことを思い出しました。

このインタビュー記事で気になったことがひとつ。コーエーが1991年に株式を公開したとき、現最高顧問の襟川陽一氏が社長で、襟川恵子氏は専務でした。説明会では陽一氏が、「姉にパソコンを買ってもらい、それを使ってゲームを開発したのが始まり」と説明していた記憶があります。

このため、陽一氏と並ぶ大株主であり、専務でもあった恵子氏が姉だとばっかり思っていました。ところがインタビュー記事では、恵子氏は陽一氏の妻となっています。パソコンを買ってもらったというエピソードも、恵子氏がプレゼントしたことになっています。

「おまえの記憶違いだろ」と言われるかもしれませんが、「姉がパソコンを買ってくれた」と言ったのは、間違いのない記憶です。兄・姉がいない僕は、それがとても羨ましかったから、強く印象に残っているのです。

まさか、「新規公開する会社の社長は、独身のほうがいい。女性投資家に株を買ってもらいやすい」とでも判断したのでしょうか? 古い話なので確かめようはないのですが、個人的には謎は深まるばかりです……。

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社長逮捕

イカリソースの詐欺事件に絡んで、名証セントレックス市場に最近上場したばかりの、店舗流通ネットという会社の社長が逮捕されました。僕がファンドマネージャーを辞めたあとの上場だったので、この社長さんにお会いしたことはありません。ちょっと残念(^^;

会社側は、無実と信じている旨のニュースリリースを出しています。ただ、ちょっと慌てて出したためか、間違いがあったようです(苦笑)。

ちょっと気になるのは、店舗流通ネットの主幹事証券会社。同じ証券会社が主幹事を務めた不動産会社は、宅地建物取引業者免許を取り消されるという、不動産会社としては最も痛いことをやっています。はてさて、妙なジンクスでもあるのでしょうか?

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代表取締役の交代理由

しばらく更新していませんでしたが、死んでしまったわけではありません。生きています(笑)

今日の朝刊で、ゼクーという東証マザーズ上場企業の、代表取締役交代の記事を見ました。2003年に上場したときは、ワイ・アリーバという社名で、上場直後から経営陣がゴタゴタしていて、代表取締役が交代したのを覚えています。

退任の理由に、「連絡が途切れがちで、取締役会を2回連続で無断欠席した」と記事には書かれていました。果たしてこれは、口頭でのコメントか、リリース文に明記されていることかと気になり、リリースを見てみると、リリースにも書いてあるんですよねぇ(苦笑)。

もちろん、真の理由は別のところにあるんでしょうけど、公式書類として残るのはニュースリリースです。そこに、「取締役会の無断欠席」が解任の理由として書かれた本人は、どんな気持ちなんでしょうね。ずる休みする小学生じゃないんだから……。

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ホントに買収防止ですか?

ひさびさに、開いた口がふさがらない発言です。今日の日経新聞に、テレビ朝日社長が、敵対的買収を防ぐために在京民放キー局5社の株式持ち合いを検討する、とあります。つまり、テレビ朝日、日本テレビ、フジテレビ、TBS、テレビ東京の5社で持ち合いをしようと。「各局が2%の株式を持てば合計で8%になり、(敵対的買収に反対する)発言力になる」とのコメントが掲載されています。

ライブドアとフジテレビの一件を熱心に報道していたわりには、どうも本質を理解されていないようですね。8%が反対しようが、50%超の議決権を持つものに対抗できないことは、明々白々のことです。僕は、別のところに本音があると思っています。

ライブドアとフジテレビの一件が、あれほど世間を騒がせた要因のひとつに、フジテレビ以外の放送局が、非常に熱心に報道していたことがあると思います。テレビ朝日も、看板番組の報道ステーションで連日放送していました。ある意味、火事場を見学するヤジウマに通じるものを感じたのは、僕だけではないと思います。同業者のヤジウマ的報道に対し、当事者たるフジテレビは切歯扼腕の思いだったでしょう。

株式を持ち合うことの意味は、きっとこれでしょう。自分のところが同じ事態に陥ったとき、同業者の動きを牽制するには、2%の保有比率は効果が期待できる数字です。自分のところがやったことは棚に上げて、ずいぶんと勝手な話です。

とにかく、放送局同士の持ち合いなんて発想はやめてください。ライバル企業同士すべてが、株式を持ち合う構図なんて、どこの業種にもありませんから、残念! 規制に守られている業種の経営者の発想は、よーわかりません、斬り!

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決算発表

3月決算企業の決算発表が、今週あたりから本格化してきます。13~14年前、僕が駆け出しアナリストだった頃は、ゴールデンウイークを過ぎて5月10日頃から決算発表が増えていたのですが、時期がかなり前倒しになりましたね。

アナリストあるいはファンドマネージャー時代は、最もストレスの溜まるシーズンでした。前期(今年3月末で終わる決算期)の実績とともに、今期の会社側業績予想(計画)が発表されます。その数字が自分の見込んでいたものと、どの程度のギャップがあるかをチェックするのですが、なかなかピッタリとはいかないものです。「今期も増益」と思っていた会社が、減益の計画を発表した日には、取るものも取りあえず、受話器を握っていましたね(苦笑)。

さて、今年はどんな悲喜こもごもがあるのか。ちなみに最新の決算発表は、東証が運営するこちらのサイトか、東証の情報に基づき日経新聞が運営するこちらのサイトで知ることができます。内容は同じですから、見た目の好みで選ぶだけです(笑)。

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社外取締役

今日の日経新聞1面に、上場企業に対し社外取締役の起用を義務付けるよう、金融庁が東証などに要請するとの記事がありました。企業経営を巡る事件や買収攻防が増えるなか、第三者のチェック機能が重要になるためだそうです。

開いた口がふさがらない、というのが僕の感想です。どうして役人というものは、こういう形式的なことにこだわるのでしょうか。そして、形式さえ整えていれば、自分たちに責任はかからないとでも思っているのでしょうか。社外取締役をそれぞれの企業が、”自らの意志”で導入するのは賛成ですが、それを義務付けることに意味を感じません。

例えば、10人の取締役のうち2~3人を社外取締役にしても、残るプロパーの取締役が結託すれば、第三者のチェックなどは不可能です。あくまでも、取締役全体の総意のもと、第三者たる社外取締役のチェックを受けようという姿勢を持たない限り、機能することはありません。取締役会も多数決で運営されるのです。どうせ義務付けるなら、「取締役の過半数を社外取締役にせよ」とでも言ってください。

ちなみに、ニッポン放送にも社外取締役はいました。監査役を除く19人の取締役(ずいぶん多い)のうち、3人が社外取締役でした。最近、一身上の都合で辞められたようですが。

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粉飾決算と監査法人の限界

経営再建中のカネボウが、連結当期純利益ベースで、過去5年間、合計約2150億円の粉飾決算を行っていたことが明らかになりました。カネボウは訂正連結決算短信を発表しています。訂正前の連結決算でも、カネボウは2004年3月期に債務超過に陥っていますが、訂正後は、2000年3月期から5年連続で債務超過になっていたことになっています。これは、文句なしに上場廃止基準に触れます。

粉飾決算が明らかになるたびに、「監査法人は何をやっていたのか?」という疑問の声が聞かれます。もっともなことだと思います。ただ、経営陣がグルになって粉飾をやられると、監査法人はお手上げです。カネボウのような売上高の大きい会社、連結子会社が多くある会社の取り引きを、第三者である監査法人がすべてチェックすることなどできないからです。今回の粉飾決算も、経営再建のために旧経営陣が退任し、内部調査をした結果わかったことです。

当たり前のことですが、企業を経営する取締役と取締役会は、大変大きな権限を持っています。そして、その権限を与えているのは株主です。取締役を任命するのは株主総会だからです。ライブドアとフジテレビの件で、「経営者は株主を選ぶことはできない」ことが、改めて明確になりました。今回のカネボウの事件は、「適切な経営者を選ぶことは、株主総会の義務である」ことを、言っていると思います。両件を見比べると、株式会社の本質が、より鮮明に見えてくるのではないでしょうか。

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支配力基準

今日の日経新聞夕刊の記事です。「ライブドアは実質的に発行済み株式の過半数を押さえたが、一部の株式の名義を意図的に書き換えないことで、ニッポン放送が”自動的に”連結子会社になることを先送りした」(” ”は筆者)。

連結の範囲を考えるときに、非常によい事例ですね。議決権ベースで50%超を保有していれば、自動的に連結子会社になるのですが、50%未満の場合はそうなりません。ただし、現在の会計基準は、支配力基準で連結の範囲を決めています。50%未満であっても、①高い比率の議決権と、②当該会社の意志決定機関(すなわち取締役会)を支配している一定の事実が認められる場合、連結子会社となります。

ニッポン放送に対するライブドアの支配力をみると、①の高い比率の議決権は言うまでもなく満たしています。②は、6月の株主総会を経て、ライブドアの意志を代弁するような取締役が、取締役会の過半数を占めれば、条件を満たすことになるでしょう。そして、ライブドアはニッポン放送の取締役会を支配しなければ、大枚はたいてニッポン放送の株式を買ったことに、意味をみいだせなくなると思います。株主総会まで約3ヶ月。その間、利害関係者はじっくりと策を練ることになるでしょう。

ところで、この”支配”という言葉。当初、この言葉がずいぶん物議をかもしました。フジテレビ・ニッポン放送側は、「”支配する”という人と話し合うことはできない」と言い、ライブドアは「”支配”はあくまでも会計用語。先方は意味を取り違えている」と言っていたと思います。

さて、どちらの言い分に理があるのでしょうか? 僕個人は、「支配は支配。それ以外の意味はなし」と思っています。

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ここからが”経営者”の本番

ニッポン放送による新株予約権の発行が中止となり、同社の議決権の50%超を保有したとみられるライブドアが、親会社となることがほぼ確定しました。このへんの経緯は、さまざまな報道機関のサイトや、個人が運営するブログにて詳しく説明されているので、ここで繰り返すことはしません。

さて、ここで忘れてはいけないことを1つ。ニッポン放送は、ライブドアの連結子会社となりました。ライブドアCEOの堀江社長は、ニッポン放送を含むライブドアグループの企業価値を高め、ライブドアの株主の期待に応える責任を負ったわけです。ライブドアは9月決算の会社ですから、少なくとも2005年9月期の下期は、ニッポン放送グループの業績が、ライブドアの連結決算に反映されます。「これからビジネスモデルは考える」などと、悠長なことはいえなくなっているのです。既存のライブドアグループはもちろん、ニッポン放送グループの企業価値を高める責任も、すでに負っているわけです。

資本市場の関係者には、堀江社長を「”経営者”ではなく”投資家”」と、皮肉混じりに表現する人が少なくありません。そのような批判に、もっとも強く異を唱えたいのは、当の堀江社長でしょう。これからが”経営者”の本番です。ニッポン放送のステークホルダー(利害関係者)に、「ああ、ライブドアの傘下になってよかった」と思わせることこそが、今回の買収が、”敵対的買収”でないことを証明する、唯一の方法なのです。

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押し潰された二代目

「私は、夫を亡くした女性がアパート経営をしているようなものです」

作家・猪瀬直樹氏による取材の際、堤義明元コクド会長は、このように語ったそうです。ただし、「夫」ではなく、「父」が現実の姿です。父・康次郎氏が戦中戦後のどさくさに、皇族・華族から買い漁ったといわれる土地を基盤として、プリンスホテルなどを展開したのが義明氏でした。

堤義明氏が今日、逮捕されました。有価証券報告書の虚偽記載、インサイダー取引を主導したことで、証券取引法違反の疑いが強まったからです。西武鉄道の有価証券虚偽記載については、このブログを立ち上げた頃にも書きました。加えて、西武鉄道の上場を維持する(コクドの持ち株比率を下げる)ために行った、同社株式売却に違法性があったわけです。

堤康次郎氏は、自分が築き上げた財産を、息子・義明氏に可能な限り多く残そうとして、他人名義による株式の実質保有という手法を考案しました。しかし、皮肉にもその手法が、息子を失脚させる原因になったのです。カリスマの仮面がはがれた息子は、今は世間知らずのお坊ちゃまにしか見えない、というのは言葉が過ぎるでしょうか?

本物のカリスマである創業者の重みに、堪えきれず押し潰された二代目。古今東西、枚挙にいとまがない話なのかもしれません。

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株主平等の原則

「株主は公平であらねばならない」

ライブドアとフジテレビのことが、連日マスコミを賑わせています。そのなかで、上記のような意味のことを、マスコミの人はもちろん、当事者までが口にすることがあるようです。株式会社制度を理解している人ならば、この言葉に違和感を持つ、僕の気持ちはおわかりいただけるでしょう。

「株主平等の原則」という言葉があります。これは、すべての株主が平等に扱われなければならない、という意味ではありません。株主は、保有株数に応じて平等に扱われなければならない、という意味です。つまり、2割の株式を保有する株主は2割分の権利を有し、6割の株式を保有する株主は6割分の権利を有する、ということです。

株主には2つの大切な権利があります。それは、株主総会における議決権(投票権)と、利益配分(配当)を受ける権利です。この2つの権利は、あくまでも保有株数に応じて生じる――「株主平等の原則」は、こう語っているのです。決して、保有株式数が少ない株主も、大株主同様の権利があるというような、悪平等を株式会社制度は認めていません。

こんなことにも注意を払いながら、両者の言い分を聞いてみるのも、またおもしろいかと思います。

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堀江社長の言葉

「ライブドアの堀江社長は、本気でフジテレビと業務提携をしたいのだろうか?」

ライブドアとフジテレビを巡る一連の騒動のなかで、僕が終始感じている疑問です。堀江社長を批判する発言、擁護する発言がいろいろと出ています。資金調達に絡むこと、時間外取引に絡むこと、敵対的買収に絡むこと。そして、これらの発言をメディアは面白おかしく取り上げ、これ以上ないほどの情報が流されています。

でも、冒頭に示した僕の疑問は、いまだ解消されていません。その一番の原因は、堀江社長がメディアを通じて、”しゃべりすぎている”ことだと思います。業務提携交渉のようなセンシティブなことは、水面下でやるべきです。この感覚に、新しいも古いもありません。当事者ならば、誰もがそうしたいはずです。

”しゃべりすぎた”がゆえに、その言葉はメディアに都合よく切り貼りされ、堀江社長の本心とは異なる伝わり方をしているのかもしれません。一方の当事者であるフジテレビ側は、メディア経由でさまざまなことが伝えられ、いらだちをつのらさざるをえません。もちろん、一方で水面下のコミュニケーションが頻繁に取られている可能性はありますが、それならば水面下の交渉に一本化すべきだと思います。

堀江社長は「金さえあれば何でも買える」という趣旨の発言をしています。前後の文脈を考慮する限り、「お金は差別をしない」ということを、彼は言いたいのだろうと思います。つまり、お金は家柄、学歴、人脈にかかわらず、誰にとっても1万円は1万円であり、1億円は1億円だということです。

同じ意味のことを言うのであれば、「お金は差別しない」という言葉のほうが、一般的には受け入れやすいでしょう。共感も得られやすいでしょう。堀江社長に必要な人材は、優秀なコピーライター、スピーチライターだと思います。もっとも、そういう人材を、彼が寄せつけないだけかもしれませんが...

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戦国合戦風・ニッポン放送城攻防戦

いやいや、もうあちらこちらのブログで、ライブドアとフジテレビの攻防が論評されていますね。当ブログも、この記事のおかげで、アクセス数が急増しております。ユニークなところでは、この記事もアクセス数増加に貢献しています(^^;

さて、フジテレビ城の支城であるニッポン放送城は、堀江六本木守(ほりえ・ろっぽんぎのかみ)が率いるライブドア軍に包囲され、もはや風前のともしびか? おっとり刀で支城の救援に赴いたフジテレビ城主・日枝台場守(ひえだ・だいばのかみ)は、野戦でライブドア勢と決着をつけるかと思いきや、ニッポン放送城近くに布陣して動かず。これは明らかに持久戦狙い。

一方のライブドア軍は、他国へ攻め込んでいるため、長対陣は避けたいところ。何しろ補給に不安を抱えている。参謀のお雇い外国人は、「私はあなたの味方です」という顔をしながら、自分の稼ぎを国元に送ることに余念がない。聞くところによると、堀江六本木守から逃亡資金も借り入れ済みとか。

戦線は膠着。決め手を欠く日枝台場守は、朝廷を動かしてライブドア軍を牽制。やれライブドアは戦の様式を心得ていない、やれ暗黙の了解を無視した、やれ伝統と格式に欠ける、などと言わしめ、ゆさぶりをかける。もちろん堀江六本木守は、「明文化された戦の作法は守っておる」と、朝廷を無視。権威を失った朝廷など、どこ吹く風というわけだが、焦りを隠せないのも事実。

おやおや、ライブドア軍とフジテレビ軍の一騎打ちかと思っていたら、近くの峠に陣取る軍があるではないか。あの旗印は村上基金守(むらかみ・ふぁんどのかみ)。決め手なく睨み合うラ軍、フ軍とすれば、何とか村上軍を味方につけたいところ。しかし、村上軍は高台にとどまり陣を動かさない。

堀江六本木守、日枝台場守は、ともに密使を村上基金守に送るが、いかなる話し合いがなされているかは知る由もなし。村上基金守は、「行動ですべてを語る。有利な条件を出した方に味方をする」と表明。筒井順慶にならい、洞ヶ峠を決め込むのか?

とまあ、こんな状況でしょうか。パロディー、パロディー(笑)


※洞ヶ峠……≪集英社国語辞典第二版より≫有利な方につこうとして、その場の様子や形勢をうかがうことのたとえ。「――を決め込む」◇京都府と大阪府との境にある峠。山崎の合戦で、筒井順慶がこの峠に軍をとどめて、戦の形勢を見たといわれることから

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ライブドア vs フジテレビ

昨日、ライブドアが「ニッポン放送の株式35%を取得済み」と発表しましたが、これはなかなか興味深いです。事実関係はこちらの記事をご参照ください。フジテレビが公開買い付けによって、ニッポン放送を子会社化している最中ですから、ライブドアの動きは、フジテレビにとって切歯扼腕のことでしょう。ちなみにニッポン放送は、フジテレビの株式を22.5%保有する筆頭株主です。

資金調達の面で、ライブドアは結構無理をしています。2月24日付で800億円の転換社債を発行し、これを証券会社がいったん全て買い取ります。証券会社は株式転換後に売却するのですが、当然、ライブドアの株価が上昇しなければ成り立たないスキームです。証券会社の方も、800億円の転換社債を抱えるリスクを取るのですから、相当な手数料をライブドアに請求しているでしょう。

形を変えた増資といって差し支えないのですが、通常の新株発行による増資より高いと想像される手数料を払ってまで、ライブドアがニッポン放送株にこだわったのは何故でしょうか? ライブドアの堀江社長は、「もう審査されるのは嫌。既存の球団を親会社ごと買いますよ」と発言していました。そう、プロ野球新規参入競争で、楽天に敗れた折りにです。表向きは、フジテレビ、ニッポン放送というメディアに対して影響力を持つことを、今回の株式取得の理由として説明するのでしょうが、プロ野球新規参入に絡む堀江社長の意地も、大きな原動力となっている気がします。ニッポン放送は、横浜ベイスターズの第2位株主なんですよね。

新春のクイズ$ミリオネア(フジテレビで放送)にゲスト出演した堀江社長は、司会のみのもんたの問いに答える形で、「プロ野球についても、今年は世間がアッということをやりますよ。もちろん、今は言えないですけどね」と語り、笑みを浮かべていました。もしもあの時、堀江社長の頭に浮かんでいたことが、今回のニッポン放送株取得であったとすれば、最高の皮肉ではないですか!

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青色LED訴訟

1月11日に青色LED(発光ダイオード)訴訟の和解が大きく報道されました。一審で200億円と判定された発明の対価が、6億円として和解が成立したわけですが、この金額について様々な意見が出ています。開発者の中村氏は、「6億円はプロ野球のスター選手が受け取る年俸の1年分。これでは若者の理科系離れが進む」と言い、訴えられた日亜化学は「6億円でも払いすぎ」と主張。「200億円は多すぎるが、6億円は少なすぎる」という意見も、個人的には耳にしています。

正直申し上げて、この金額の妥当性について、明確な回答は持ち合わせていません。大学時代、工学部に所属した者としては、エンジニアの待遇がよくなることは望ましいことです。一方で、アナリスト、ファンドマネージャーとして企業経営を見てきた者としては、日亜化学の主張がわからないでもありません。

一般論として申し上げますと、企業は様々な研究開発投資をしています。一般的なメーカーだと、売上高の3%ぐらいを研究開発費として計上しています。研究開発費には、人件費、実験設備の減価償却費、資材の購入費、試作費など、研究開発に関わる様々な費用が含まれていますが、人件費が占める比率が総じて高いものです。

終身雇用を前提とすれば、企業は研究開発部門でこれといった成果がなくても、社員を解雇することなく、雇用を維持しなければなりません。研究者にとって、これは大変安心できることでしょう。少なくとも、組織から離れてフリーとなった僕から見れば、これは単純に金銭価値で評価できないものだと思います。逆に言えば、企業の負担は決して軽くありません。

また、企業は特定の研究テーマだけに経営資源を投入するようなことはせず、様々なテーマの研究を同時進行させて、芽が出るのを待ちます。また、芽が出た研究テーマを元に製品開発するのも大変困難な仕事であり、製品化されたものを販売するのも楽な仕事ではありません。確かに、世紀の大発明に対する対価が数万円では、研究者の意欲を削ぐことになりますが、一方で研究者ばかりが優遇されるのは、製品化に携わるエンジニアや、販売に携わるセールスパーソンの意欲を削ぐことにもなるでしょう。企業経営とは、そういうことも考えるものだと思います。

一連の報道のなかで、僕が最も印象的であったのは、以下に引用する記事です。テレビの報道などでは、この記事のような視点が、忘れられがちだと思います。

《以下、日経新聞(2005/1/13)より引用》
東芝の半導体技術者から転じて起業したザインエレクトロニクスの飯塚哲哉社長は「巨額の報酬を求めるなら、勤務先を訴えるより起業してリスクを取るべきだ」と話す。大手企業の技術者から独立した経営者には実はこうした意見が多い。
《引用終わり》

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クロネコ vs ゆうパック

前回に続き、少しお堅い話です。日経ビジネスの1月10日号に「ゆうパックが届かない」という表題の記事がありました。昨年、郵政公社は、ゆうパックの値下げ、全国のローソンでの取扱開始、織田裕二を起用したテレビCMの投入など、ゆうパックの拡大策を打ち出してきました。ところが、増加する荷物に対して、配送体制が整っていなかったようです。

記事に書かれていることを、一方的に信じるのはよくないので、状況証拠を検討しましょう。記事の最後には、ゆうパックの混乱が現場職員にしわ寄せされ、年賀状の仕分けや配達が遅れたと書かれています。大阪の実家に帰ったとき、僕が送った年賀状が、兄弟や友人へいつ頃配達されたかを聞くと、元旦に届いたところもあれば、4日になってようやく届いたところもありました。

まあ、僕が投函したのが12月30日なので、偉そうなことは言えないのですが、取扱郵便局ごとに差が出ていたのは、日経ビジネスの記事が、ある程度真実を語っていると考えてよさそうです。

余談ですが、僕は帰省の際に、本などの荷物をクロネコヤマトの宅急便で、実家に送りました。また、東京に戻る際も、実家から荷物を送っています。いずれも、集荷の翌日に到着。単純比較はできませんが、少なくとも僕の中では、クロネコに軍配を上げることにします。

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ETCの低額リース

今日の日経新聞の夕刊に、ETC車載器の普及を促すため、国土交通省が貸出制度を春にも導入する、とありました。記事を読む限り、リースなのかレンタルなのか判然としませんが(両者には歴然とした違いがあります)、月額200円以下で利用できるとのことです。

やっとそういう気持ちになりましたか、というのが率直な感想です。だいたい、1台1万円を超すETC車載器を、レンタルやリースなしで普及させようと考えていたこと事態が、お役所の横暴というものです。もっと腰を低くして、ETC導入時からレンタル・リースを可能としていれば、ドライバーも使ってみようかと思うものです。国土交通省がようやく柔軟な対応を始めたことを、納税者としては素直に喜びたいと思います。

さてETC車載器。僕も自家用車を持っていますから導入してもよいのですが、残念ながら無理です。あれって、専用のクレジットカードを作らないといけないんですよね。定期的な収入のない僕は、逆立ちしたって審査に通りません。というわけで、引き続き「一般」の入り口を利用することにします。何とかなりませんか、国土交通省様(苦笑)。

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西武鉄道株買い戻し請求について

11/18に書いた西武鉄道について、もう少しお話ししたいと思います。

コクドおよび西武鉄道内で、「コクドの実質的な持ち株比率が公表数値よりも高い」ことが明らかになったのち、コクドおよび西武鉄道グループと取引のある企業に対し、西武鉄道株が売却されました。西武鉄道株を購入した企業の数は約70社、このうち約40社が買い戻しを請求しているとのことです。

購入企業の論理は次のようなものでしょう。「有価証券報告書の虚偽記載に関わる情報提供をせずに、売却するのは信義にもとる」です。まあ、購入当時1200円前後であった株が、今や349円(12/2)では、そう言いたくなる気持ちもわかります。ただ、もともとの購入動機が、「コクドおよび西武鉄道グループとの取引関係を強化するため」なのだから、あまり声高に買い戻せと言うのは、あまり格好のいいものではないと思います。

ここまでは前置きです。僕が関心を持っているのは、仮にコクドグループが買い戻し請求に応じた場合、その売却価格はどうなるのかということです。買い戻し請求をする企業は、当然、購入時の価格で買い取れと言うでしょう。ところが、西武鉄道株は、349円(12/2)という市場価格で売買されている株式です。これを無視して、1200円前後の株価で売買することに、少なからず違和感を覚えます。

もちろん、相対の商取引であれば、価格は当事者同士で決めていいのですが、これを果たして、税務当局が良しとするか、否とするかに興味があります。購入企業が、無事に購入当時の価格で買い戻してもらったとしましょう。その企業は、本来349円のものを、1200円前後で売却するのですから、約850円の超過利益を得ます。税務会計の感覚だと、この850円が課税所得になるのではないかと思うのです。

もちろん、購入企業側は、「そんなバカな話があるか」と不満に感じるでしょう。では、購入企業が課税されないとすれば、どうなるか。今度は、コクドグループ側が課税対象になると思います。つまり、最初に1200円で売却した段階で、本来の価値を上回る超過利益があったという理屈です。

残念ながら、僕はそれほど税務会計に詳しくないため、上記の疑問に対する答えを持っていません。むしろ、どなたかのご教授をいただければ、とてもありがたいと思います。実際に買い戻しが実現した場合、税金の問題は避けて通れないはずですから...

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西武鉄道の上場廃止

西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載、そして上場廃止という一連の流れについては、大変強い関心を持って見ています。さて、株式市場の仕組みについて、それほど詳しくない方々は、これらの動きをどう思われているでしょうか? 「それって、そんなに悪いことなの?」、「上場廃止するほどのことなの?」という風に、考える人はいないでしょうか?

元日本株ファンドマネージャーとして言わせていただけば、これはとっても悪いことであり、上場廃止は当然の処置です。わかりやすいように、言い換えをしましょう。上場企業とは、財務諸表などを開示している公開企業です。英語ではPublic Companyと表現しています。一方の非上場企業は、非公開企業(Private Company)といわれます。厳密な意味では違う部分もありますが、上場企業=公開企業、非上場企業=非公開企業と考えて、差し障りありません。

有価証券報告書とは、証券取引法によって、上場企業に開示が義務づけられている書類です。上場企業が、公開企業であることを定義づける、唯一の書類といって差し支えないものです。西武鉄道が提出する有価証券報告書は、長期かつ意図的に、虚偽の情報が書かれていました。これは西武鉄道が、公開企業の要件を満たしていなかったことになります。

上場企業の株式や社債に投資をする場合、投資家は有価証券報告書に嘘が記載されているとは思っていません。もしも有価証券報告書に嘘が記載されていると疑っていたら、非上場企業に投資をするのと同じことになります。それでは、上場企業に投資をする意味を見いだせなくなるわけです。

「投資家保護」という言葉があります。これは、投資家が損をしないように保護するという意味ではなく、投資にまつわる重要な情報を、正確かつ迅速に周知させようというものです。つまり、西武鉄道の件は、投資家保護の視点からレッドカードだったわけです。

随分長文になりましたね。最後までお読みいただきありがとうございます。こんな風に、企業経営や株式投資に関わる話も、これからは書いていきたいと思います。

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