産婦人科医の苦悩

帝王切開手術を受けた女性が失血死した件で、刑事責任を問われていた産婦人科医に対し、昨日、無罪判決が言い渡されました。最近、訴訟リスクを恐れるため、産婦人科医のなり手が減っているとは聞いていましたが、この裁判がそもそものきっかけと、種々の報道が伝えています。

偶然ですが、下記リンクの本を読了したところ。こちらはフィクションですが、帝王切開手術が原因で女性を死なせてしまった、産婦人科医が主人公です。物語では、刑事裁判ではなく、民事裁判で医療過誤が争われるのですが、上記の無罪判決の背景を知るには、もってこいの本だと思います。

それもそのはず。著者は現役の産婦人科医ですからね。産婦人科を取り巻く状況を、世間に広く伝えたいと考えて、執筆したそうです。正直、小説としての完成度はいまいちだと思いますが、専門分野に関する記述は、非常に勉強になりました。

関心のある方は、ご一読をおすすめします。


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読者を甘やかさないミステリー

やっぱり東野圭吾さんはすごい!

下記リンクにある「どちらかが彼女を殺した」「私が彼を殺した」は、ミステリーでありながら、犯人が誰であるかを明示せずに、本文が終わる小説です。

そう。ミステリーなのに、犯人の名前がわからないのです。ただし、漫然と読むのではなく、注意深く読み進め、ポイントとなる部分を何度も読み返せば、犯人はわかる仕掛けになっています。

言うならば、読者を甘やかさないミステリー。本文のあとに、袋とじで「推理の手引」という解説がありますが、あくまでもヒントが書かれているだけで、ここにも犯人の名前は明示されていません。

ミステリーの犯人当てが好きな方、あるいは読解力に自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてくださいhappy01


 

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吉原手引草

日経新聞の書評欄で激賞されていたのに興味を持ち、つい最近読み終わった「吉原手引草」。7月17日に直木賞の受賞が決まりました。

他の候補作品は読んでいませんが、この「吉原手引草」は文句なくおもしろい作品です。吉原で起こったある事件を、何者か(最終章でその正体は明らかになります)が調べを進めていく。事件は花魁(おいらん)の葛城(かつらぎ)にまつわるもので、文体はすべて葛城に関わる人たちからの聞き取りの形式で進んでいきます。そして、最後にすべての謎が明らかに……。

以前、作者の松井今朝子さんが原作を書かれた、「マンガ歌舞伎入門」という文庫本を読んでいました。経歴を拝見すると、松竹で歌舞伎の企画制作に携わっておられたとのこと。江戸時代(中期~後期?)の吉原を描写するくだりは、歌舞伎のシーンを思い浮かべながら読むのも一興でしょう。

Amazonでは一時在庫切れになっていましたが、今はどうでしょうか? 出版社は大慌てで増刷の準備に取りかかっていることでしょう。うらやましい話です(苦笑)

 

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「みんなで国語辞典」

テレビで紹介されたのを見て、速攻でアマゾったのが下の本。約11万の応募を元に編纂された新語辞典です。ちなみに、Amazonで買い物をする「アマゾる」も、この本からの受け売り(笑)




さて、次の言葉の意味は何でしょう?

1.どエヌ
2.スリーエム
3.ねぼる

この本の「若者のことば」という章に入っている言葉です。もちろん、この本を見るまで知らなかった言葉ばかり。解答は次のとおり。

<解答>
1.ド・ノーマルな人。個性がなく面白みがない人のこと。
2.M(マジで)M(もう)M(ムリ)。本当に疲れていることを、相手に伝える言葉。
3.寝坊をしてしまい遅刻するのが怖くて学校や会社を休むこと。「寝坊」と「さぼる」の合成語。

3については、身に覚えが多々あり。ねぼった日って、「病欠します」って言い訳するのが通例ですが、睡眠時間がいつもより長いから、むしろ健康そのものなんですよね(爆)。

「学校のことば」の章から問題を3つ。高校生以下が対象の言葉ですね。

1.あさづけ
2.GHQ
3.仮友

<解答>
1.テスト当日の朝、学校に来てからテストの出題範囲を一気に詰め込むこと。
2.Going Home Quickly の略。帰宅部のこと。
3.かりとも。友達のふりをしている仮の友達。

1は前の晩に寝過ごしたときの非常手段。これも経験あり。2と同じ意味の言葉として、「青春部」というのもあるそうです。僕の学生時代は、「帰宅部」以外の表現はなかったなあ。3はちょっと怖い言葉ですけど、大人の世界でも似たようなことありますね。子供は大人の鏡です。

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周期表を貼る

先日、書店で思わず衝動買いした本。NEWTON別冊「完全図解周期表」。学生の頃、ビッグバン宇宙論に興味を持ってNEWTONはよく読んでいましたが、ひさびさの購入です。何より惹かれたのが、付録の周期表のポスター(下の写真)。

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タテ55センチ、ヨコ80センチの大型ポスターです。早速壁に貼りました。いやあ心が洗われます。オールカラーの周期表。元素記号と原子番号を見ていると、深遠な科学の縁に立ったような気持ちになります。本の方では、各元素を豊富なイラストと写真で徹底解説。ぱらぱらと眺めているだけで、楽しくなります。

皆様も、おうちに1冊いかがですか?

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OUT

兄が妹を、妻が夫を――。年始早々、殺害した相手をバラバラにするという事件が相次いでいます。嫌な話です。ありきたりですが、どうしてそんなことを、と思わずにいられません。

表題は桐野夏生さんの著作。この作品がどうしても頭に浮かびます。夫を発作的に殺してしまった妻。彼女の仕事仲間が死体をバラバラにして処分する。その過程が生々しく描かれた作品です。

この小説では、2人の女性が悪戦苦闘しながら死体を切り分けていましたが、昨年末に起こった上記の事件は、ともに単独犯とみられています。想像を超えた行為に、ただ驚くばかりです。

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勇気ある判断――週刊新潮

周知のとおり、山口県の工業高等専門学校の女子学生が殺害された事件は、依然犯人が逮捕されておらず、同級生の男子学生(19歳)が殺人容疑で指名手配されたままです。読売新聞によると、7日発売の週刊新潮が、少年の実名と顔写真を掲載しているとのことです。

週刊新潮の勇気ある判断だと思います。きっと内部でいろいろ議論があったことでしょう。しかし市民の安全を考えれば、殺人容疑で指名手配され、どこに隠れているかわからない者の名前や顔がわからない状態が、いつまでも続いていてよいわけがありません。

読売新聞の記事は、少年法について言及していますが、少年法第61条は審判なり裁判を受けている少年についての規定であって、容疑者を対象にしたものではありません。これについては、BOZZさんがブログで詳しく書いています

人権保護も結構ですが、市民の安全と容疑者の早期逮捕の方が、それに優先されるべきではないでしょうか。

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「テレビはなぜ、つまらなくなったのか」

ちょっと刺激的な表題ですが、これは日経BP社から最近出版された本のタイトルです。日経ビジネスに「TV WARS」というタイトルで連載されていた頃から、興味深く読んでいました。長嶋茂雄、力道山、大橋巨泉、山口百恵、鹿内春雄、ジャニー喜多川、北野武など、テレビと深く関わった人々にスポットを当て、テレビが巨大メディアになる過程を描き、そしてテレビが衰退しようとする今を浮き彫りにする一冊。

なかでも興味深いのは、フジテレビが成功した80年代から、テレビは進化を止めているという分析。80年代のフジテレビは、「楽しくなければテレビじゃない」を合い言葉に、アドリブ中心のお笑いバラエティー、トレンディードラマ、タレント化した女子アナ、テレビ局主導による映画制作、などを新たに手掛けました。現在のテレビは、すべて80年代のフジテレビの焼き直しである――と。

そのほかにも、興味深い分析やエピソードがあり、何度も目から鱗が落ちました。関心のある方はぜひご一読を。

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甲賀忍法帖

ううん、不惑を迎えるまで、この本を読んでいなかったことが悔しい。山田風太郎さんの「甲賀忍法帖」です。こんなにハチャメチャでおもしろい話を、文字で表現しきるなんて、本当に凄い。絶対読んで損はなし!です。

きっかけは知人に「警視庁草紙」を薦められたこと。この作品も凄いんです。明治初期を舞台に、史実はあくまでも素材にして、良質なエンターテインメントに仕上げているんです。そして、史実に対する知識が半端でないことが、行間からにじみ出ています。とにかく凄い!

勢いにまかせて、アマゾンでめぼしい関連作品をドドドッっと注文して、今読んでいるのは「妖説太閤記」。これも読み出したら止まらないんですわ。

何だか私、浮かれちゃってます(笑)

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「信長は謀略で殺されたのか」

表題の本は、織田信長が明智光秀に討たれた本能寺の変に関して幾多ある謀略説を、良質史料の検討によって根こそぎ否定したものです。

いわゆる黒幕が存在し、彼らが光秀をして謀反に走らせたという謀略説は、百花繚乱の趣があります。黒幕としてあがるのは、足利義昭、羽柴秀吉、徳川家康、石山本願寺、イエズス会、正親町天皇、朝廷などなど、とにかく何でもありです。

著者の藤本氏と鈴木氏は、これら様々な説を丹念に批判し、光秀単独実行説を唱えています。とても説得力のある内容なので、ご興味のある方はぜひご一読を。鈴木氏の書かれた「謎とき日本合戦史」も興味深い内容です。大河ドラマなどで映像化される合戦と、実際の合戦にはずいぶん違いがあるものだと、目から鱗が落ちます。

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