今回は映画と本の紹介です。DVDのパッケージに「ベルリン国際映画祭で大絶賛」と書かれている「選挙 CAMPAIGN」は、2005年の川崎市議会議員の補欠選挙に立候補した山内和彦氏の動向を、ナレーションや字幕を一切入れず、淡々と追いかけたドキュメンタリー映画です。
そして「自民党で選挙と議員をやりました」と題された本は、その山内氏自身が、選挙に立候補した経緯や、選挙戦中の体験談をまとめたものです。
この補欠選挙は、私が住んでいる宮前選挙区(川崎市宮前区)が舞台となっており、見覚えのある風景が頻繁に映画に出てきます。残念ながら、私が引っ越してくる前のことであったため、選挙戦の風景を直接は見ていません。2005年の郵政選挙の直後に行われた選挙でした。
この山内氏ですが、政治経験はゼロ。自民党の公募によって候補者となり、東京都から引っ越してきた落下傘候補です。東京大学卒業、若さ(選挙戦当時40歳)、人当たりの良さ以外、目立った特徴はなし。仮にこの人が、無所属で選挙に出ても、当選することはなかったでしょう。
でも、山内氏は自民党公認候補です。特にこの選挙は補欠選挙であったため、自民党と民主党が1議席を巡って争う構図となり、政党対政党の色彩が強い選挙でした。自民党は組織をあげて彼をバックアップし、当選に導きました。
いや、バックアップではないですね。自民党がかつぐみこしに、たまたま山内氏が乗っかっていただけといえるでしょう。選挙戦の間、山内氏は自分自身の判断で動くことはほとんどなく、ただただ周囲の指示にしたがって声を出し、走り回るだけでした。その様子が、この映画や本から伝わってきます。
新聞やテレビが選挙戦を描写するとき、よく「組織をあげた選挙」とか「組織を固める選挙」と表現しますが、その実態を知る人は少ないでしょう。かくいう私も、この映画と本を通じて初めて知りました。これが、「ザ・自民党の選挙」なんだとわかります。
この山内氏を見ていると、どうしても郵政選挙で大量に生まれた小泉チルドレンが重なります。たぶん彼ら・彼女らも、山内氏と同じように自民党のみこしに乗り、あれよあれよで当選しちゃったんでしょう。
今年は解散・総選挙があるといわれています。その前に、この映画を見て本を読んでおけば、選挙を見る目が変わると思いますよ。
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